デンデラ野(石村)

デンデラ野(石村)
岩手県遠野市に、柳田國男の遠野物語で取り上げられたデンデラ野という場所があります。元々は蓮台野(れんだいの)と呼んでいたのが訛ったものだそう。蓮台とは「蓮(はす)の花の形につくった仏像の座。転じて、彌陀の浄土に往生する者の身を託すもの」(参照:コトバンク)で、蓮台野とは墓地のこと。ただ遠野で蓮台野、もといデンデラ野とは、いわゆる姥捨て場のことを指し、一定の年齢に達した老人たちが家を出て共同生活をし、死を待つ場所を指しました。ただじっと死を待つのではなく、日が昇ると里に下りて農作業の手伝いをし、その日が来るまで糊口をしのいでいたのだそうです。今は観光地(?)化されていて自動車で簡単に行くことができます。私が岩手県で仕事をしていたころ、両親を招いて岩手県内を観光した際に、ここに立ち寄ったところ、当時60代後半だった母がこれにいたく感激しておりました。いいわねえ、いいわねえ、これが理想的よねえと繰り返して。あれから10年以上たちましたが、まだ気持ちは変わっていないようです。私には母の気持ちが理解できないのではありますが、私がもっと年を重ねたら、分かる日がくるのかもしれない、と思っています。

石村修善

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