父が死んだ時に思ったこと(石村)

父が死んだときに思ったこと(石村)
一昨年、父が80代で世を去った。男性の平均年齢が同じく80代なので、遠くない将来に別れが来ても不思議は無いと頭で分かってはいたが、一方でまだまだ先のことであることを願ってもいた。それが肺炎にかかって瞬く間に逝ってしまった。突然の別れであった。
悲しかった。悲しみの中で、それまでに思いもしなかった絵というかイメージが思いがけず心に浮かんだ。どのようなものかというと、絵の上部には宴に浮かれた生者たち、その下に、生者たちがその上に立ったり座ったりしている地下世界の縦断面が描かれたもので、歴史のはじめから今日までに死んだ人々の白骨が地下10mくらいまで分厚く積もっていて、生者達はその上で飲んだり食べたり歌ったりしているにも関わらず、その存在にも、自分もいずれはその一部になるということにもまるで気付いていない、というものだ。
今を生きる生者達は、先人達の苦労も悲しみも喜びも偉大な達成も知らない。僅かに知ったとしても気に掛けない。私もそうだったのだとその時によく分かった。

石村修善

目次